今日はCGアンチについて、色々と語りたいと思います。
CGと言えば「ジュラシック・パーク」(1993)から本格的に使われるようになり、今現在では映画やテレビなどには欠かせない存在となりましたが、怪獣やモンスターファンの間ではお世辞にも評判が良いとは言えません。
勿論これは日本の特撮物が好きな方だけでなく、海外の特撮物が好きな方にも言えることであり、「モンスターメイカーズ ハリウッド怪獣特撮史」や「図説 モンスター―映画の空想生物たち」でも、着ぐるみやストップモーション・アニメや特殊メイクといった、昔から使われている古き良き時代の特撮はとことん拘って書かれていても、CGは「もうみんな分かっているだろうから、わざわざ書かなくても良いよね」的な感じで、まともに扱われていない気がします。
これは単にCGの存在が気に入らないから、味がないからというのもあるからもしれませんが、「ジュラシック・パーク」(1993)が公開されてまだそんなに経っていない頃、昔の怪獣映画や恐竜映画を「昔の恐竜映画って、なんか動きがチカチカしちゃったり、チャチなぬいぐるみだったりしてひどかったですよね。ただのトカゲだったのもあったな、ガキの頃TVで見ました。参っちゃいますよね、ああいうの。やっぱCGですよ、シージー」と言った人がいたらしいですが、きっとこれがCGアンチを増やしたのではないかと思います。
「てめえはビーシージーでも打ってろっ!」「おまえは勝手に死ぬまで参っていればよろしい」「くたばれCG!」みたいにね。
でもCGが嫌いな理由としては、誤ったCGの使い方を見てしまっているのではないかと思います。
つまり、CGを使わなくても良いシーンまでもCGを使っている為、余計に怒りを買っているのではないかと思います。
僕もCGが嫌いというわけではないのですが、正直これはCGじゃないと出来ないなという部分で、CGを使うだけで十分だと思います。例えばこれみたいに、ほんの少し使うだけで十分なのです。
なのに今はCGじゃなくても良い物までCGを使用している為、安易にCGを使い過ぎており、頼り過ぎていると思います。
またCGは個性が出にくいせいか、どの作品を見ても同じようにしか見えず、作っている人達の特徴が出ないようにも思えます。
それとレイ・ハリーハウゼンが「CGはリアル過ぎちゃって、ファンタジーがファンタジーらしくない」とおっしゃっていたそうですが、これはその通りだと思います。
ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」みたいに、今でもファンタジー映画やモンスター映画は沢山作られています。
ですがリアル過ぎてしまって妙に現実臭く、ファンタジーらしさが感じられないのが現実です。
ハリーハウゼンの作品や「オズの魔法使」(1939)、「バグダッドの盗賊」(1940)、「親指トム」(1958 「サンダ対ガイラ」にも出演したラス・タンブリンが主人公のトムを演じています)といったファンタジー映画を観たのですが、こちらの方が遥かにファンタジーらしさがあり、いかにも魔法がそこに存在している感じがあり、何より夢がありました。
元祖キング・コングについても、本物の猿としてのリアリティを入れつつも、ただデカイだけの猿として描くのではなく、独特の怖さを持っていた為、まさに怪獣・モンスターとして大成功したのに対し、リメイク版ではただの巨大ゴリラとしか描かれていなくて、がっかりしたものです。
まぁこれはキング・コングだけでなく、殆どのCGモンスターはリアルさばかりに拘っていて、モンスターとしての面白みに欠けている気がしますけどね…。
そして最大の欠点と言えるかどうかは分かりませんが、CGモンスターには印象に残る(または歴史に残る)名キャラが、あまりにも少なすぎるのではないかと思います。
もしも僕が「CGモンスターの中で、歴史に残るキャラは何?」と言われましたら、「ジュラシック・パーク」シリーズの恐竜たちや、「ターミネーター2」(1991)のT-1000ぐらいしか思い付きません。


ジュラシック・パーク」の画像はT-Rex - Dinosaurs Wallpaper 28160 - Desktop Nexus Animalsからで、T-1000の画像はThe Great Geek Manual » This Day in Geek History July 3から。

参考はあなたの知らない怪獣マル秘大百科 (映画秘宝COLLECTION) (単行本) 怪獣の部屋 キングコング編

それと「怪獣の部屋」にストップモーション・アニメとして有名な、ジム・ダンフォースがコマ撮りについて語った事が妙に印象に残りましたので、それを紹介します。
モデル・アニメーターとして個人が独立することは困難を極める。設備投資がばかにならないうえ、仕事の複雑さのわりにはあまり報われない、挫折がつきもののSFXなのだ。もし我々をモデル・アニメーションにこだわらせるものがあるとしたら、それはおそらく子供の頃に見た”キングコング”の感動なのだろう。
コマ撮りは関節が可動な人形を、1コマ1コマ動かしながら撮影していく事もあって、1秒の映像を作るだけでも24コマも必要ですし、さらにもし撮影中にアクシデントが起きて人形が倒れたりしたら、また一からやり直さなければならないなど、本当に気が遠くなるような作業であり、短気な人には向かないと言われています。
また「モデル・アニメーターとして個人が独立することは困難を極める。」と書いてある事を考えますと、ウィリス・オブライエンレイ・ハリーハウゼンのような大物になれるのは、ほんの少ししかいないという事になります。
しかしこういう仕事でもギャラが良くない事を考えますと、アニメ業界のギャラは何処も同じかもしれませんね。
実際日本の声優やアニメーターも人気がある業界なのに、その給料は生活していくのが大変なくらいに安いみたいですし、生き残って行くのが難しい業界である事は有名な話ですし…。